就活の時期になると、業界研究というキーワードをよく聞くようになりますが、いきなり始めるよりも、そもそもどんな業界があって、どのような流れで業界研究をすればいいのかをイメージしてからの方が効率的だと思います。
そこで、今回は業界分類一覧と業界研究方法を簡単に紹介していきます。
それでは早速見ていきましょう!
業界研究の基本
業界研究は就職活動の中で重要な要素のひとつです。
業界を理解することは自分に合った業界を知り、選択肢を広げることができるため、大変有効です。
「志望している職種はどのような業界があるのか?」「大学で学んだことが生かせるところはどこか?」などお悩みの方は業界への知識を深めることも重要です。
それでは、業界分類とその概要を解説していきます!
そもそも業界とは
一言でいうと、企業を産業や商業で分類したものです。
業界によって取り扱う商品やサービスはさまざまで、メーカーが製造した商品を商社が仕入れ、小売が販売するなど各業界は密接な関わりを持っています。
8つの業界分類
業界を大きく分けるとその役割から「メーカー」「商社」「小売」「金融」「サービス」「ソフトウエア・通信」「マスコミ」「官公庁・公社・団体」の8つに大別できます。
それぞれの業界が下記のような役割を果たし、社会を構成しています。
メーカー | 食品・農林・水産/建設・住宅・インテリア/繊維・化学・薬品・化粧品/鉄鋼・金属・鉱業/機械・プラント/電子・電気機器/自動車・輸送用機器/精密・医療機器/印刷・事務機器関連/スポーツ・玩具/その他メーカー |
商社 | 総合商社/専門商社 |
小売 | 百貨店・スーパー/コンビニ/専門店 |
金融 | 銀行・証券/クレジット/信販・リース/その他金融/生保・損保 |
サービス/インフラ | 不動産/鉄道・航空・運輸・物流/電力・ガス・エネルギー/フードサービス/ホテル・旅行/医療・福祉/アミューズメント・レジャー/その他サービス/コンサルティング・調査/人材サービス/教育 |
ソフトウェア | ソフトウェア/インターネット/通信 |
広告/出版/マスコミ | 放送/新聞/出版/広告 |
官公庁/公社/団体 | 公社・団体・官公庁 |
各業界の概要
メーカー
メーカーとは原材料などを加工することで製品を開発・生産し、提供するものです。
主に自動車や家電など長年使用する製品を開発・製造する「耐久消費財メーカー」、食品や医薬品など日常生活で使用する商品を開発・製造する「生活用品メーカー」、鉄鋼や繊維、自動車・電子部品、半導体などの素材を開発・製造する「原料・部品メーカー」、OA機器や医療機器、プラント設備などを開発・製造する「機器・機械メーカー」などのさまざまなメーカーが存在します。
商社
商社は輸出入貿易でメーカーから仕入れた商品を小売店などに販売し、その仲介料で収益を上げます。
主にあらゆる分野の商品やサービスを取り扱う「総合商社」、特定の分野の商材を取り扱う「専門商社」があります。
小売
小売とはメーカーや卸売業者から仕入れた商品を、消費者に販売することを指します。
主に「百貨店」、「スーパーマーケット」、「コンビニエンスストア」、特定の商品を取り扱う「専門店」などがあります。
最近では店舗やインターネット、イベントなどであらゆる場所で消費者とつながり、全てを連携させてアプローチする「オムニチャネル」も注目を集めています。
金融
金融は、さまざまな業界と密接な関わりを持ちながら経済を支える仕事です。
主に預金の取り扱い、資金の貸し出しなどの融資を行う「銀行」、株券売買や新株発行のサポート、企業買収・合併の仲介などを行う「証券」、生命保険や損保保険などで個人・企業の保険料などを運用する「保険」などがあります。
サービス
サービス業は個人や企業が求めているサービスを提供することで対価を得て利益を上げます。
主に旅行やフード、教育などを提供する「B2Cサービス(個人にサービスを提供)」、建設・土木、人材などを提供する「B2Bサービス(企業にサービスを提供)」、運輸などを提供する「B2B2Cサービス(個人と企業にサービスを提供)」などのさまざまなサービスが存在します。
近年は時代に合わせたサービスの出現が目覚ましく、時代の動向を捉えることがサービス業には重要となっています。
ソフトウエア・通信
ソフトウエア・通信では、情報の伝達や処理・加工に関わるサービスを提供します。
企業経営に関わるシステムなどを開発する「ソフトウエア」、利用者にとって有益なコンテンツやニュースを提供する「インターネット」、通信ツールを開発・提供する「通信」などがあります。専門知識が問われる場合が多いことが特徴です。
マスコミ
マスコミ(マスコミュニケーション)とは、世の中にあるあらゆる情報を多くの人に伝えることです。
主に電波などを利用してさまざまな音声、映像、文字などの情報を伝える「放送」、ニュース情報などを紙面を通じて伝える「新聞」、書籍や雑誌などを発行し、書店やネット通販で販売する「出版」、商品やサービスなどのメッセージをメディアを通じて伝える「広告」などがあります。
官公庁・公社・団体
公社・団体は地方公共団体や学校、病院など社会の中で民間ではできない公的な事業を行う団体です。
官公庁は、国と地方公共団体の役所を指し、中央省庁や裁判所、国会、日本銀行などを含みます。
効率的な業界研究の方法
就職活動において、業界研究はどのように取り組めばよいでしょうか?
「業界研究はとても大事」というのは本当ではありますが、何かとても大掛かりなことをしなければならないと気構えて、腰が重くなっている方も多いと思います。
ここではそんなみなさんに3つの業界研究のポイントと、効果的な手段を紹介します。
業界研究とは
就活では、自分がどんな仕事をやりたいのか、あるいはどんな会社に就職したいのか、方向性を絞っていく必要があります。
しかし、ほとんどの人は大企業のCMなどから受ける漠然としたイメージしか持っていないのが現状です。
過去に【大学生向け】優秀なOB/OGの多くが就活で後悔していることという記事を書いているので、良かったら読んでみてください。
まずは世の中にどんな業界があるのか調べることから始めましょう。
自分が知っていた業界の範囲は狭いものであったりすることに気付くと思います。
例えば、メーカーといっても、素材系から機械、金属、自動車、繊維、印刷などさまざまです。
また、業界ごとに特徴がありますし、市場や発展性など知っておくべき事柄はたくさんあります。
志望する企業の業界のみを絞り込んで研究をすることは選択肢を狭めかねません。
業界研究で幅広く情報を収集することが大切です。
業界研究のポイント
業界の数は多く、細かい分類を見るとどれだけ時間が合っても足りないため、効率良く研究することが必須です。
ここでは研究を効率良く進めるために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
業界の全体像を捉える
世の中にある企業は多種多様なビジネスモデルや分類から成り立っているため、全体像を捉えるのは容易ではありません。
しかし、大きな分類である業界を知ることで社会の構成図を理解することができ、さまざまな業界を知ることで企業を選ぶ上での選択の幅が広がります。
業界ごとの特徴を理解する
業界が取り扱う商品やサービス、顧客の形態である「B to B(企業が企業向けに行う)」や「B to C(企業が消費者向けに行う)」などを知ることは業界を理解する上で欠かせません。
面接では業界の特徴や扱うサービスの形態なども質問されるケースもあるため、しっかりと研究を行うことが大切です。
業界の成長性・安定性を知る
業界の成長性を知ることは、将来のキャリア形成にも大きな影響を与えます。
せっかく企業に採用をされても衰退している業界では長期的に働くことは難しいこともあります。
成長性がある、安定性があるなどを自分のキャリアプランと照らし合わせて選択することが大切です。
一般的に業界の年齢が低いほど成長性があり、業界の売上高が高いほど安定性がある傾向にあります。
特に「成長性」というのは企業を選ぶ上でも重要なポイントなのでぜひ覚えておいてください。
業界研究の具体的な手段
業界研究のポイントを確認した後は、調べる手段を理解して情報収集を行いましょう。
さまざまな手段を用いることで多角的な視点で業界研究を行うことができ、業界の全体像を把握できます。
就職情報サイト
就職情報サイトでは企業の採用情報はもちろん、業界の詳細や業界セミナーなどのイベント情報など、就職活動で必要となるコンテンツが網羅されています。
業界の全体像を理解するのに適しているため、始めの取り掛かりに向いています。
オススメの就職情報サイトは【大学生必見】優秀なOB/OGから学ぶ、登録すべき就活サイトでまとめているので、ぜひ参考にしてください!
新聞・ニュース
新聞やニュースでは業界に関わる最新の情報を入手できます。事業展開や業績の見通し、景気や円相場の変動の影響などを注意して見ることで各業界の動向を知ることができます。
社会情勢は一般常識として面接などで質問される場合もあるため、日頃から新聞やニュースを見る習慣をつけるとよいでしょう。
書籍や雑誌
業界本や就職情報誌は業界についてが詳しく書かれているため、業界の全体像や動きを把握するのに役立ちます。
書店の就職本コーナーやインターネットでの購入が可能です。
日経経済新聞社など複数の出版社が発行している「業界地図」はさまざまな業界が網羅され、各業界の商品などの市場のシェア率を知ることができます。
企業の業界での立ち位置や成長度合いを把握するのにおすすめです。
東洋経済新報社が発行している「就職四季報」は企業から掲載料をもらわずに作成しているため、客観的な企業情報を得ることができます。
5000社以上の企業情報が業界別に掲載され、同業の会社比較など、他の方法では収集できない情報を得ることができます。
「四季報の読み方」については過去の記事で分かりやすくまとめているので見てみてください!
業界研究セミナー
業界研究セミナーでは実際に業界で働く人々から話を聞くことができ、将来のキャリアイメージの形成にも役立ちます。
業界のリアルな最新情報を聞くことができる機会は少ないため、その他の情報収集と並行して行うとよいでしょう。
会社説明会
会社説明会では事業内容や業績、業界内での立ち位置を知ることができます。また、企業の雰囲気や現場の様子を知ることができる点や質問をできることが大きな特徴です。
ただ話を聞くのではなく、疑問を解消するためにこの場を活かすことが大切です。
OB・OG訪問
OB・OG訪問は、自分で業界研究を行った上で、調べ切れなかった情報収集できることが特徴です。
OB・OG訪問を有意義なものにするためには、前段階で、できる限りの業界研究を十分に行っておき、訪問の際に聞くことをまとめておくとよいでしょう。
例えば「業界内の競合にはない、自社の強みをどう考えているのか」、「今後、業界内でどのような立ち位置を築きたいか」などです。質問内容は事前に精査しておきましょう。
もし身近に話が聞ける人がいないという場合は、ビズリーチという会社が運営している【ビズリーチ・キャンパス】というサービスは同じ大学出身の先輩に話を聞けるOB/OG訪問サイトで、こちらも無料で利用できるのでオススメです。
私もOBとして登録していますが、システムもしっかりしているので、安心して社会人の先輩から聞きたい話を聞けると思いますよ!
キャリアセンター
キャリアセンターでは就職活動のサポートを行います。大学などで学んだ専攻がどの業界に向いているのかなどを相談できるため、他の方法と合わせて活用するとよいでしょう。
また、キャリアセンターが開催するガイダンスは各業界の人から直接話を聞けるチャンスなので、ぜひ参加してください。
新卒向け就職エージェント
業界の詳しい情報を自分だけで調べるのはなかなか難しいかと思います。そのようなときは新卒の就職エージェントを頼るのも一つの方法です。
キャリアアドバイザーが学生と企業の間に立って選考をサポートするサービスで、面談などを通じて業界の詳しい情報を知ることができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は業界分類一覧と業界研究方法について紹介しました。
新卒の就活は人生で一度しかないからこそ、業界研究は怠らずに、後悔のない就職活動をしてほしいと思います。
それではまた!